由紀さおり&Pink Martini ロイヤル・アルバート・ホール公演 第一部

11月30日 阿佐ヶ谷ロフトAで、佐藤剛さんがナビゲーター、由紀さおりさんとぼくがゲスト出演して、「1969」の奇跡についてのトークイベントが開催されます。

詳しくはこちら
http://www.loft-prj.co.jp/lofta/schedule/per.cgi?form=2&year=2011&mon=11&day=30

http://go-sato.jp/archives/517

Pink Martini symphonic tour concert in RAH

只今、BBCのサイトで、コンサートの模様を配信中です。
http://www.bbc.co.uk/programmes/b015n4j4

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2011年10月17日(月)
イギリス、ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホール

アメリカ・オレゴン州で結成され、世界中で圧倒的人気を誇るジャズ・オーケストラ・グループ、ピンク・マルティーニの“シンフォニック・ツアー(UK)2011”の最終日が、ロンドンの由緒ある大劇場“ロイヤル・アルバート・ホール”で開催されました。チケット発売後、たちまち7000席がソールドアウトというのも驚きです。12人編成のPink Martiniに、65人のBBCコンサート・オーケストラがジョイントしてのゴージャスなコンサートが展開されたのです。

そのコンサートにヴォーカリストとして参加したのが、日本を代表するシンガー、由紀さおりさんです。Pink Martiniのリーダー・トーマス・M・ローダーデールが、10数年前、由紀さおりが1969年に発売したデビューアルバム「夜明けのスキャット」を、地元オレゴン州ポートランドの中古レコード店で見つけたのがそもそものきっかけです。

これまでも、このブログで、由紀さんを発見した彼らを、ぼくが発見した話を書いてきましたが、いよいよ、Pink Martini& Saori Yuki/由紀さおりとピンク・マルティーニ「1969」が、世界22カ国で発売されることになり、彼らのUKツアーの最終日に、由紀さんがヴォーカリストとして参加することになったのです。

彼らと由紀さんの出逢い、「1969」のポートランドでのレコーディングと、今日に至るプロセスの現場に居合わせたぼくとしては、トーマスがこの5月に「ロイヤル・アルバート・ホールに由紀さん、参加しませんか?」というオファーがあった時から、同行することを決めてました。

由紀さん、EMIミュージックの方とぼくの4人でロンドンに向かったのは10月16日(日曜日)でした。当日の夜到着して、すぐに、ロイヤル・アルバート・ホールを観に行き、いよいよ、夢が現実になるのだと、不思議な感慨に包まれました。

そして一夜明け当日。昼にPink Martiniの一行が到着。5ヶ月ぶりの再会となったトーマスは会うなり“「1969」好きか?”と挨拶代わりに聴いてきます。すぐにリハーサルとなりましたが、トーマスによれば、由紀さんのパートをまずPink Martiniで演奏し、それからBBCオーケストラが加わり、最後は通しでリハをする、という念の入れよう。リハを通して、プレイヤーたちのコミュニケーションをはかって、一つのカタチが出来上がってゆく。トーマスは由紀さんが歌いやすいように、リハーサルでも配慮してくれている、そんな感じがしました。リハーサルは、午後1時から午後5時30分まで、きっちり行われ、ゴージャスなPink Martiniのサウンドが出来上がってゆくプロセス、由紀さんがPink Martiniのヴォーカリストになっていくプロセスを目の当たりして、期待はいやがおうにも盛り上がります。

本番の直前、日本側のフォトセッションがあり、トーマスは快く、劇場の外に出て、ハイドパークからロイヤル・アルバート・ホールをばっくに、由紀さんとのツーショット撮影に望みました。彼らにとってもロイヤル・アルバート・ホールははじめてとのこと、オールド・スタイルの映画や音楽、文化がPink Martiniの構成要素であるなら、このロイヤル・アルバート・ホールのステージに立つことは、トーマスにとっても「特別なこと」でした。

フォトセッションの後、トーマスは由紀さんやぼくを誘って、ヒッチコックの『知りすぎていた男』の撮影現場を特定しようと、劇場内を探検。開演時間が迫るなか、このリラックスこそ、トーマスのスタイルであり、心情と、同じオタク同志としては妙に納得。ぼくのiPadに入っている『知りすぎていた男』の映像をみながら、暗殺者が狙ったブース、要人の席のあるバルコニーを特定していくのは、普段ロケ地探検をしているぼくとしては最高に楽しい体験でもありました。

そして、いよいよ開場時間となりました。ぼくは、楽屋口から一度外へ出て、チケットを持って、指定の入口から再入場しました。トーマスが言っていたように「この建物も大切なロケーション」なのだから。廊下にはこれまで、この劇場のステージ立ったアーティストの写真が飾ってあり、それを観るだけで、本当に楽しかったです。

ぼくの席はアリーナの前方、三階席まで満員の観客たちは、スマートフォンを片手に、思い思いの写真や映像を撮っているようです。このゴージャスな建築物もまたコンサートの一部なのです。ウエルカムのサウンドはミュージカル。期待は高まる一方です。今回のツアーは、この4月から休養に入っている、ヴォーカリスト、チャイナ・フォーブスに変わって、ストーム・ラージがメイン・ヴォーカリストとして参加。これまでのCDやライブでのチャイナの上手さ、表現力を知っているファンにとって、ストームはまだ未知の存在です。しかし、その実力は、これからのステージでまざまざと体感することになるのです。

18:45 open 19:30 start

第一部


01 Bolero ボレロ(インスト)

トーマスやメンバー、そしてBBC・コンサート・オーケストラが着席。一曲目はラベルの「ボレロ」を演奏。Pink Martiniとオーケストラによるゴージャズな演奏に観客は酔いしれ、コンサートへの身構えを心地よく、解き放ってくれます。

トーマスが「アメリカ、オレゴン州、ポートランドからやってきたピンク・マルティーニです」と、挨拶。メンバーを紹介して、いよいよヴォーカリストのストーム・ラージを呼び込みます。

02 Amado mio アマド・ミオ (ストーム)

2曲目は、彼らのデビューアルバム“Sympathique”の1曲目“Amado mio”です。映画ファンにとっては、1946年のコロムビア映画『ギルダ』で、妖艶なリタ・ヘイワースが歌った名曲です。ギャビン・ボンディのトランペットをフィーチャーしての演奏、ストームのセクシーな歌声に、会場はヒートアップ。遠く、1940年代のアルゼンチンにタイムスリップしたような、快調な滑り出しです。


03 Quizas quizas quizas キサス・キサス・キサス (ストーム)

そして、ストームが「次はドリス・ディのヒット曲です」と紹介したのが、日本ではザ・ピーナッツのカヴァーで大ヒットした、スタンダードナンバー「キサス・キサス・キサス」。キューバのオスヴァルド・ファレスが1947年に作曲したスペイン語の名曲。アルゼンチン、キューバときて、続いては? と思っていると

04 Splendor in the grass 草原の輝き(ストーム)

ストームのMC「トーマスの親友、アレックスの作詞です」と、2008年のアルバム「草原の輝き」のタイトル曲。2010年にユニバーサルから日本版がリリースされ、由紀さんとぼくがライナーを担当した想い出深い曲。1960年代のポピュラーソングを思わせる曲調、ウイリアム・ワズワースの詩や、エリア・カザン監督の同名映画からのインスパイアは、アレックスの手になるもの。

05 Donde esteas Yolanda ヨランダ(ティモシー)

 ストームがティモシー・ユウジ・ニシモトを呼び込む。ポートランドで、トーマスがティモシーと知り合ったとき、彼はまだレストランで働いていたという。日系三世で、これまでも「菊千代と申します」を日本語で歌っているが、日本語は苦手。「1969」でも由紀さおりと「真夜中のボサ・ノバ」や「さらば夏の日」をデュエット。このDonde esteas Yolandaは、ファースト・アルバム“Sympathique”収録曲で、スペイン語で「ヨランダはどこにいる?」という意味。CDよりもリラックスしたヴォーカル。


06 Black lizard 黒蜥蜴 (ストーム/ティモシー) 日本語

おなじみの曲に、観客も大喜び。トーマスはティモシーと、トロンボーンのジェフリー・ブーディンを紹介。ストームを前に、次の曲「黒蜥蜴」を紹介。日本のカルト映画であること、三島由紀夫さんの戯曲をもとにした猟奇的な作品で、美輪明宏さんがオープニングで歌うことなど、嬉々として説明。しかし、ストームは一言「ビューティフル・ソング」とクールなリアクション。「ディズニー映画ではないわね」とも。心の中で「松竹映画です」とツッコミ(笑) この、オタクもタジタジという演出は、アメリカコメディの基本。「黒蜥蜴」もファースト・アルバムに収録。彼らが日本語もイケる、と知らしめた一曲。


07 And then you're gone いとしのあなた (ストーム)

トーマスが「次はシューベルトにちなんだ曲です」と紹介したのが、「草原の輝き
」のなかの「いとしのあなた」。シューベルトの「幻想曲ヘ短調」をモチーフにしたオリジナル曲。パワフルかつコミカルで、ロレンゾという浮気性の恋人への三行半をつけるパートがおかしい。ここでの“怒り”キャラは、ベティ・ハットンやエセル・マーマンといった、ミュージカル・スターの系譜だなぁと思いました。


08 But now I'm back(ティモシー)

トーマスのMC「続いても同じシューベルトをフィーチャーした曲です」と、同じく「草原の輝き」収録の、07のアンサーソング。ロレンゾの側から、恋人マリアに向けて“言い訳”を歌った曲。ティモシーが歌っている間、椅子に坐って、ロレンゾへの怒り心頭のマリアを演じるストームのリアクションが素晴らしい。これぞミュージカルの女王!といったパフォーマンスが楽しめました。

そして、いよいよ、我らが由紀さおりさんの登場です!

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09 夜明けのスキャット(由紀さおり)

トーマス「10年前、ポートランドのエブリディ・ミュージックのワールドミュージックのコーナーでみつけたのが由紀さおりさんの『夜明けのスキャット』でした。彼女をぼくは「日本のバーブラ・ストライサンドだと思います。日本公演で共演し、ホリデイアルバムでホワイト・クリスマスを日本語で歌って貰いました。そしてアルバムも一緒に作りました。彼女は、日本のテレビ、映画、音楽界の伝説的存在です、日本のバーブラ・ストライサンド、ミス・サオリ・ユキ!」と、由紀さおりを知らない観客にも、イメージが湧くようにトーマスが紹介。見事だなぁ。

やがて、ダン・ファンレーのギターのイントロで、ぼくらにはおなじみの「ル・ルルル~」の歌い出し。それまで、どんなシンガーだろうと観ていた観客が身を乗り出して聴き入っているのがわかります。その瞬間に、劇場の空気が一変。少し緊張していた由紀さんもリラックスしているのが、よくわかりました。そして歌い終わると、満場の観客の拍手が鳴り止みません。

拍手、トーマス「サオリ・ユキさん!」

鳴り止まぬ拍手が、ようやく落ち着くと、由紀さんが、英語で「こんばんは、皆さん、日本からやってきた由紀さおりです。ロイヤル・アルバート・ホール! 緊張します」と、観客に挨拶します。「そしてこのチャンスを作ってくださった、トーマスさんにも改めて感謝します」と謝辞。そして「トーマスと作ったアルバム “1969”よろしくお願いします」と、アピールも! 英語で挨拶を練習していると、由紀さんから聴いていましたが、由紀さんの一挙手一投足に、リアクションをしている隣のイギリス婦人の様子を感じながら、深い感動に包まれていました。

10 ブルー・ライト・ヨコハマ(由紀さおり)

そしてトーマスが「次も、1969年に日本で大ヒットした曲です。“ブルー・ライト・ヨコハマ”」と曲紹介。筒美京平作曲、橋本淳作詞の名曲を、誰がチャチャでアレンジすると思いつくだろう! レコーディングの時に「チャチャで行こう!」とトーマスが言ってから5ヶ月、ポートランドをドライブしながら(目的地は由紀さんのレコードを見つけたエブリディ・ミュージック!)、このアレンジのイメージをトーマスが聴かせてくれた日の事を思い出して、感無量でした。

拍手!
由紀さおり「ありがとうございました。」
鳴り止まぬ拍手

トーマス「由紀さんは、第二部にまた戻ってきます(さっきの “ But now I'm back”
にかけて)」と予告。「ところで僕たちは、この秋、2枚のALBUMを出しました。」と”1969“と”レトロスペクティブ“についてのトーク。

11 Flying squirrel(インストゥルメンタル)

そして、人気トランペッター、ギャビン・ボンディをフィーチャーした、ゴキゲンなジャズナンバー“Flying squirrel”が第一部最後の曲。ダン・ファンレーのギターも素晴らしい。ギャビンは「現代のハリー・ジェイムズ」といった感じで高音から低音まで、安定して、それゆえスリリングなサウンドを展開、自由自在。日本の歌謡曲に続いて、1940年代のアメリカのジャズが登場しても、何の違和感もない。ノーボーダー、ノージャンル、それがエンタテインメントというトーマスの構成はお見事!

ここでインターミッション。というわけで、コンサートのレポートは第二部に続きます。
http://toshiakis.at.webry.info/201110/article_3.html


(ストーム・ラージさんの“Sympathique"の映像です)

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1969
EMIミュージックジャパン
2011-10-12
由紀さおり

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この記事へのコメント

Josephdub
2014年07月23日 15:42
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    Excerpt: 由紀さおり&Pink Martini ロイヤル・アルバート・ホール公演 第一部 佐藤利明のTICKLE ME 娯楽映画と音楽と/ウェブリブログ Weblog: プラダ 財布 racked: 2013-07-06 22:27