「オトナの歌謡曲」第十九回 黄色いサクランボ

「黄色いサクランボ」
作詞 星野哲郎  作曲 浜口庫之助
歌 スリー・キャッツ(1959年8月コロムビア)



なんとものどかな、馬が歩いて来そうなイントロですが、これが1959年型の”お色気”です。

殿方と少年は、なんたってお色気です(笑) どんなエロよりも、キョーレツなのが、こうした”お色気ムード”だったりします。この歌が流行したのが、昭和34(1959)年。映画『Always 続・ 三丁目の夕日』で描かれている年です。これまでのお色気ソングといえば、昭和20年代末を席巻した神楽坂はん子さんの「ゲイシャ・ワルツ」「見ないで頂戴お月様」「こんなベッピン見たことない」「こんな美男子見たことない」などの、お座敷ソングの数々でした。

これらのお座敷ソングは、歌の中身が”お色気”ということではなく、歌っているのが芸者さんという、パフォーマーの持つ”お色気”が、巷の殿方(そして思春期の少年。これはいつもセットなのです・笑)に受けたということでしょう。いわば、お色気のプロが歌うことで、お色気を醸し出す。これが昭和20年代までの、お色気ソングの有り様でした。

それは、昭和30年代の五月みどりさんや、その妹さんの小松みどりさんへと継承されますが、五月さんの場合は、神楽坂はん子さんが作った”お座敷ソング”の継承者でもあるわけで、五月さん=芸者さんという映画などのヴィジュアル・イメージが醸成されていくわけです。

で、「黄色いサクランボ」です。なんたって「若い娘は~」です。「お色気ありそで~」「なさそで~」と来るわけです。この歌は芸者さんのような、お色気のプロの歌ではなく、あくまでも「若い娘」が主体なのです。お色気の一般化、フツーの人々のお色気を歌うようになったということが、画期的なのです。

しかも、この頃から「健康的なお色気」という言葉が使われるようになります。ということは、これまで「お色気は不健康なもの」だったのか! と、突っ込みたくなりますが、あくまでも建前では、お色気を標榜することができるのはプロだけ、という棲み分けがあったのです。この変化は、昭和33(1958)年3月31日をもって、赤線が廃止されたということと、大きく関連があります。売春は違法だけど、恋愛は自由。「健康的なお色気」は「健康的なセックス」という、なんだか、やっぱり「セックスは不健康」というそれまでの不健康な考え方がちらつきますが、ともあれ、昭和33年を境に、映画や歌における”お色気の在り方”が大きく変わってきたのは間違いありません。

というわけで、スリー・キャッツさんの「黄色いサクランボ」です。歌う三人娘は、小沢桂子さん、上原由里江さん、梅田和代さん(初代~1960年2月には、上原さんは妊娠と、梅田さんが結婚を理由にそれぞれ脱退。新メンバーは、小沢さん、佐伯みち子さん、堀田直江さんとなりますが、間もなく上原さんが復帰します。というわけで、結構メンバーは異動しているのです)。

作詞は、後に傑作「自動車ショー歌」を書かれる星野哲郎さん、作曲は我らがハマクラさん。カップリングの「ピンク・ムーン」(!)とともに、松竹映画『体当たりすれすれ娘』(1959年8月3日・穂積利昌監督)の主題歌・挿入歌として吹き込まれたものです。この映画、九条映子さん、有沢正子さん、中圭子さん扮する、コーラス・グループ「スリー・キャッツ」が活躍し、大暴れする「お姐ちゃん」映画です。映画のスリー・キャッツは、女優さんたちが演じているで、ややこしいですが(笑)ともあれ、松竹版「お姐ちゃん」シリーズを目論んで企画されたものでしょう。

「お姐ちゃん」シリーズとは、この頃、東宝で、団令子さん、中島そのみさん、重山規子さん主演による、現代的な女の子がヒロインの『大学のお姐ちゃん』(1959年3月3日杉江敏男監督)を第一作とする明朗喜劇。昭和39(1964)年の『お姐ちゃん三代記』(筧正典監督)まで8作も作られました。

もとは、戦前の松竹映画「与太者」シリーズの女の子版として東宝が作ったのですが、昭和30年代らしく、自立している職業婦人であるヒロインが、仕事やボーイハントに張り切るというものです。

団令子さん=週刊誌記者
重山規子さん=ダンサー
中島そのみさん=お金持ちお嬢さん(だけど跳ねっ返り・笑)

三人とも、お金には困っていない。ナイトクラブへも自腹で出かけることができるし、車の運転もできる。今では当たり前のことですが、この頃は、画期的なことだったのです。

そうです。戦後の映画における女の子像は、このあたりから、大きく変わってきたのです。自立する女の子、自由恋愛、健康的なお色気なのです。というわけで、松竹が東宝の「お姐ちゃん」シリーズを意識して作った『体当たりすれすれ娘』のスリー・キャッツもまた、自立する女の子です。自分で稼いでるんだから、お色気もOK、ということで成立したのが「黄色いサクランボ」のお色気なんじゃないかと思います。

でも、「つまんでごらんよ」なんて! かなり大胆ッすね(笑)
http://j-lyric.net/artist/a001371/l001023.html

というわけで、スリー・キャッツさんのピンク・ムードは、お色気のイメージをぐっと身近なものにしてくれたのではないかと。

で、この「黄色いサクランボ」ですが、僕らの世代は、やっぱり昭和45(1970)年に颯爽と登場した、ゴールデンハーフのデビュー曲というイメージが強烈です。エバ、マリア、ルナ、ユミの四人組で「8時だョ!全員集合」はじめドリフターズの番組によく出ていました。デビュー間もない、ゴールデンハーフの「黄色いサクランボ」は日活の『野良猫ロック セックスハンター』(1970年長谷部安春監督)で、堪能できます。



これもまた「スタンダードナンバー~オトナの歌謡曲~」で歌われる予定です。

https://ticket.kyodotokyo.com/jigyo.do?jigyoBango=9Y27&unitCode=671

日本のポップスを確立した3人の作曲家、
中村八大・いずみたく・浜口庫之助の
名曲を歌い継ぐコンサート。

2009年11月24日(火)新宿文化センター大ホール
開場18:00 開演:18:30

出演:由紀さおり/遊佐未森/今野英明/バンバンバザール/土岐麻子/羊毛とおはな/中山うり/藤澤ノリマサ/中村中/阿部芙蓉美
演奏:鈴木総一朗
総合司会:柿木央久
画像

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    Excerpt: はやっぱりおいしぃ↑多分一番好きなお菓子かも^^このクッキーの中のシットリ感が…24枚入りを買ったんだけどすぐ無くなりそう><;あと一枚、もう一枚だけ…って手が止まらないよ.. Weblog: ☆美香のブログ☆ racked: 2009-12-06 07:51