ポートランドの春
2008年 ぼくは由紀さおりさんの40周年アルバム「いきる/由紀さおり」の現場に、プロデューサーの佐藤剛さんに呼ばれて、プロジェクトに参加することになりました。歌謡曲シンガーとしての由紀さおりさんを、改めて21世紀にプレゼンテーションする「21世紀の歌謡曲」がスタートしたのです。
2009年 そのプロジェクトを「由紀組」と命名し、定期的なプロジェクト会議を行ってきました。タワーレコード限定の「夜明けのスキャット/夜の果てまで」シングルをリリースすることになったりと、歌謡曲シンガーとしての由紀さんが再びスポットライトを浴びるようになってきました。
おそらく6月だったと思います。その会議の前の夜、あまりにも暑くて寝つかれず、ネットを徘徊していたところ、Youtubeで、アメリカのジャズ・オーケストラ(またはポピュラー音楽楽団)Pink Martiniが、由紀さんの「タヤタン」を「TayaTan」として日本語のままカヴァーしていることを発見しました。デビュー二曲目の「天使のスキャット」のB面曲というマニアックな選曲に驚きつつ、日本の歌謡曲がアメリカのグループによって発見され、それが世界中に浸透していることを知り、不思議な気持ちになりました。
そのときに、彼等の最新アルバム「 Hey Eugene!」(2007)に、由紀さんの「タヤタン」のカヴァーが入っていることを知り、彼等のサイトで注文しました。
http://en.wikipedia.org/wiki/Hey_Eugene!
で、Youtubeで見つけたその日、由紀さんの事務所で、スタッフ会議があり、その時に、この「タヤタン」発見の驚きを報告。その秋の由紀さんの40周年コンサートで、Pink Martiniのエピソードをまじえて、由紀さんが「タヤタン」を40年ぶりにステージで歌うことになりました。
その間、ぼくはPink Martiniの全アルバムを聞いて「いいなぁ」「わかる、わかる」と共感し、共鳴し、リーダーのトーマス・M・ローダーデールさんに会いたくなり、Pink Martiniを生で観たい! という思いのなか、新譜の「Splendor in the Grass」(2009)を楽しみました。
そうこうしているうちに、いろいろな方が奔走してくださり、ユニバーサル ミュージックから「Splendor in the Grass」の日本版リリースが決定、さらには、2010年のハワイ公演とソウル公演の合間に、急遽、来日公演することが決まりました。
日本版CDのタイトルを「草原の輝き」と付けさせていただき、ライナーノーツには、由紀さおりさんが巻頭言、解説と曲解説を佐藤利明が担当させていただくことになりました。そして、3月のビルボードライブ東京でのワンナイトライブに、由紀さんがシークレットゲストに出演することが決まり、その日程がなんと2010年3月10日、1969年の同じ日に由紀さんが「夜明けのスキャット」でデビューした記念日でもあります。
当日、リハーサルの現場では、出会ったばかりのソノダバンドのメンバーや、われわれスタッフがPink Martiniと邂逅。由紀さんと、歌姫のチャイナ、そしてリーダーのトーマス・ローダーデールとの対面に、感無量でした。
で、ぼくも初対面のトーマスとは、同じ波長というか、同じ匂いを感じて(予想通りですが・笑) 意気投合、MGMミュージカルの話やスタンダードの話で大盛り上がり。そのことについては、昨年3月のmixi日記に生々しく記述しております(笑)
そして翌日、ユニバーサルで、マスコミ取材ということになり、由紀さんとチャイナ、トーマスの座談会の仕切りをさせて頂きました。
http://www.cdjournal.com/main/cdjpush/pink-martini/2000000541
この日は、朝から晩まで数本の取材のインタビュアーをつとめさせて頂き、トーマスとはすっかり仲良くなりました。この時に、トーマスから「今年の冬にホリデーアルバムを出すのだけど、由紀さんに一曲歌って欲しい」というリクエストがあり、僕らは本当に驚きました。
そして8月、その約束は果たされ、由紀さんは日本語で「ホワイトクリスマス」をレコーディング。Pink Martiniのアルバムに参加、11月にリリースされると、アメリカで大きな話題となりました。
そうしたことがあって、この3月、由紀さんがポートランドで開催された、東日本大震災チャリティーコンサート「オレゴンから愛」でPink Martiniと共演することになり、急遽渡米。その時、向こうのニュースで、トーマスは由紀さんのことを「日本のバーブラ・ストライサンド」と絶賛。
http://www.oregonlive.com/portland/index.ssf/2011/03/from_oregon_with_love_benefit.html
そして、その時に、スターバックス・コーヒーによるiTunes配信楽曲、「夕月」のレコーディングが行われ、4月8日から配信されることになり、売上全額が東日本大震災の義援金として寄付されることになりました。
http://www.starbucks.com/blog/pink-martini-song-to-benefit-japan-red-cross/991
これだけでもスゴいのですが、こうした、Pink Martiniと由紀さんのコラボレーションを重ねるうちに、2011年の由紀さおりさんのニューアルバム=Pink Martiniのニューアルバムということになり、その録音が4月末から5月初旬に、オレゴン州ポートランドで行われることになって、今回のぼくの渡米となったわけです。
そこからの話は、この秋のアルバムリリースに向けて、少しずつお話させていただければ、と思います。ともあれ、こうして「21世紀の歌謡曲」「オトナの歌謡曲」プロジェクトをすすめてきた甲斐というか、未来に向けての明るい展望が見えてきました。
というわけで、現在進行形のドキュメントとして、長くなりましたが、書かせていただきました。
『お楽しみはこれからだ!』です。
2009年 そのプロジェクトを「由紀組」と命名し、定期的なプロジェクト会議を行ってきました。タワーレコード限定の「夜明けのスキャット/夜の果てまで」シングルをリリースすることになったりと、歌謡曲シンガーとしての由紀さんが再びスポットライトを浴びるようになってきました。
おそらく6月だったと思います。その会議の前の夜、あまりにも暑くて寝つかれず、ネットを徘徊していたところ、Youtubeで、アメリカのジャズ・オーケストラ(またはポピュラー音楽楽団)Pink Martiniが、由紀さんの「タヤタン」を「TayaTan」として日本語のままカヴァーしていることを発見しました。デビュー二曲目の「天使のスキャット」のB面曲というマニアックな選曲に驚きつつ、日本の歌謡曲がアメリカのグループによって発見され、それが世界中に浸透していることを知り、不思議な気持ちになりました。
そのときに、彼等の最新アルバム「 Hey Eugene!」(2007)に、由紀さんの「タヤタン」のカヴァーが入っていることを知り、彼等のサイトで注文しました。
http://en.wikipedia.org/wiki/Hey_Eugene!
で、Youtubeで見つけたその日、由紀さんの事務所で、スタッフ会議があり、その時に、この「タヤタン」発見の驚きを報告。その秋の由紀さんの40周年コンサートで、Pink Martiniのエピソードをまじえて、由紀さんが「タヤタン」を40年ぶりにステージで歌うことになりました。
その間、ぼくはPink Martiniの全アルバムを聞いて「いいなぁ」「わかる、わかる」と共感し、共鳴し、リーダーのトーマス・M・ローダーデールさんに会いたくなり、Pink Martiniを生で観たい! という思いのなか、新譜の「Splendor in the Grass」(2009)を楽しみました。
そうこうしているうちに、いろいろな方が奔走してくださり、ユニバーサル ミュージックから「Splendor in the Grass」の日本版リリースが決定、さらには、2010年のハワイ公演とソウル公演の合間に、急遽、来日公演することが決まりました。
日本版CDのタイトルを「草原の輝き」と付けさせていただき、ライナーノーツには、由紀さおりさんが巻頭言、解説と曲解説を佐藤利明が担当させていただくことになりました。そして、3月のビルボードライブ東京でのワンナイトライブに、由紀さんがシークレットゲストに出演することが決まり、その日程がなんと2010年3月10日、1969年の同じ日に由紀さんが「夜明けのスキャット」でデビューした記念日でもあります。
当日、リハーサルの現場では、出会ったばかりのソノダバンドのメンバーや、われわれスタッフがPink Martiniと邂逅。由紀さんと、歌姫のチャイナ、そしてリーダーのトーマス・ローダーデールとの対面に、感無量でした。
で、ぼくも初対面のトーマスとは、同じ波長というか、同じ匂いを感じて(予想通りですが・笑) 意気投合、MGMミュージカルの話やスタンダードの話で大盛り上がり。そのことについては、昨年3月のmixi日記に生々しく記述しております(笑)
そして翌日、ユニバーサルで、マスコミ取材ということになり、由紀さんとチャイナ、トーマスの座談会の仕切りをさせて頂きました。
http://www.cdjournal.com/main/cdjpush/pink-martini/2000000541
この日は、朝から晩まで数本の取材のインタビュアーをつとめさせて頂き、トーマスとはすっかり仲良くなりました。この時に、トーマスから「今年の冬にホリデーアルバムを出すのだけど、由紀さんに一曲歌って欲しい」というリクエストがあり、僕らは本当に驚きました。
そして8月、その約束は果たされ、由紀さんは日本語で「ホワイトクリスマス」をレコーディング。Pink Martiniのアルバムに参加、11月にリリースされると、アメリカで大きな話題となりました。
そうしたことがあって、この3月、由紀さんがポートランドで開催された、東日本大震災チャリティーコンサート「オレゴンから愛」でPink Martiniと共演することになり、急遽渡米。その時、向こうのニュースで、トーマスは由紀さんのことを「日本のバーブラ・ストライサンド」と絶賛。
http://www.oregonlive.com/portland/index.ssf/2011/03/from_oregon_with_love_benefit.html
そして、その時に、スターバックス・コーヒーによるiTunes配信楽曲、「夕月」のレコーディングが行われ、4月8日から配信されることになり、売上全額が東日本大震災の義援金として寄付されることになりました。
http://www.starbucks.com/blog/pink-martini-song-to-benefit-japan-red-cross/991
これだけでもスゴいのですが、こうした、Pink Martiniと由紀さんのコラボレーションを重ねるうちに、2011年の由紀さおりさんのニューアルバム=Pink Martiniのニューアルバムということになり、その録音が4月末から5月初旬に、オレゴン州ポートランドで行われることになって、今回のぼくの渡米となったわけです。
そこからの話は、この秋のアルバムリリースに向けて、少しずつお話させていただければ、と思います。ともあれ、こうして「21世紀の歌謡曲」「オトナの歌謡曲」プロジェクトをすすめてきた甲斐というか、未来に向けての明るい展望が見えてきました。
というわけで、現在進行形のドキュメントとして、長くなりましたが、書かせていただきました。
『お楽しみはこれからだ!』です。
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