愉しさと切なさの「紅弁天部隊上海へ行く」

浅草松屋の階上にあったアミューズメントランド(SPORTLAND)について、以前、どなたかの日記にレスをつけさせていただいたことがありますが、P.C.L.の『純情の都』(1933年木村荘十二)を観ていたら、出て来ました! 岸井明さん&藤原釜足さんたちが、遊びに行くアミューズメントランドが、亡父がいつも話してくれた「ミッキィ横丁」だったのです。しっかり「ミッキィ横丁」の文字もしっかり読み取ることができました。いやぁ、大発見。

というわけで、今日は、築地のブディストホールで上演中の、瀬川昌治監督 作・演出の舞台『紅弁天部隊上海へ行く』を拝見してきました。開演前に、今週トークをご一緒にさせていただく瀬川昌久先生、そして久しぶりの本木克英監督にお目にかかりました。

物語は『純情の都』から12年後の浅草、六区の空襲から始まります。国際劇場は風船工場となり、常盤座でも芝居が上演されなくなってしまった戦争末期。インチキ師の松下(村木藤志郎さん)が、軍部に取り入って、女子だけの一座による上海慰問隊を送り込んで、一儲けを企てます。その口車に乗ってしまったのが、かつて六区でならした女座長の花村豊子(岡安由美子さん)と演出家の村尾一郎(前田淳さん)、そして大空襲で家も家族も失ってしまった女の子たち。浅草の小学校で同級生だった女の子たちは、SKDの踊子と偽ることを強要されて、一座が結成されます。

といった滑り出しからして、この舞台が、1970年代に、松竹でフランキー堺さん主演で企画されたもの、ということがよくわかります。つまり瀬川昌治監督の世界なのです。これはぜひご覧いただきたいです。唄あり、踊りあり、笑いあり、涙あり、夢あり(笑)の瀬川イズム満載です。

特に刮目すべきは、浅草寺の裏手で掏摸をしていたという、浅草生まれの浅草育ちなのに、育ての母が天王寺出身ということで、大阪弁でしゃべる19歳の女の子・春野さくら(佐藤葵さん)のキャラクターです。不幸な生い立ちで、オツムが少し・・・の女の子ですが、彼女の無垢さ、天真爛漫さは、暗くて辛い時代の救いでもあります。演じる佐藤葵さんのために宛書きをしたかのように、彼女はイキイキとさくらを演じて、不思議な感動をもたらしてくれます。

得にクライマックス、コント竹田君と山口君の山口ひろかずさん演じる連隊長との二人芝居。アチャラカ度も満点の山口さんの創りだす浅草の匂いに、佐藤葵さん、負けてません(笑)二人で、抜群の空間を創りだしてくれるのです。

演出補には、瀬川組出身の井坂聡監督。テンポが良くて、一気にラストまで見せてくれます。また、うわの空の村木藤志郎さん、フランキー堺さんを意識されているらしく、観ていて不思議な心持ちになりました。

ともあれ、瀬川昌治監督の最新作『紅弁天部隊上海へ行く』は、7月24日まで築地ブディストホールで上演中です。

http://www.uwanosora.com/kurenaibenten/index.html

この芝居、今度は浅草で観てみたい、と思い乍ら、築地を後にしました。

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この記事へのコメント

小林沙弥香
2010年07月22日 01:53
警防団役でした。お暑い中お越しいただきありがとうございました。出演していた者からすれば大変嬉しい言葉です。本当にありがとうございました。
2010年07月22日 10:03
こちらこそ、愉しい部隊いや、舞台でした(笑)警防団のお一人だったんですね。あの時代を知る瀬川監督でなくては表現できない、リアリティと適度な笑いが絶妙でした。皆さんの奮闘ぶり、素晴らしいと思いました。

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