『落語長屋は花ざかり』を観た!

 神保町シアター「喜劇映画パラダイス」最終日に、ようやく念願の『落語長屋は花ざかり』(54年)改題再上映版『お笑い大福帳』を観ることができました。この映画、ずっと東宝にプリントがないということで、名画座での上映、CSでの放映が叶わなかった「幻の作品」です。2003年、エノケン生誕100年を記念して、当時の東芝EMIで制作させていただいたCD「エノケンMEETSトリロー」のときにも、この映画がなく、『落語長屋は花ざかり』『夏祭り落語長屋』と『落語長屋のお化け騒動』の音楽テープ(三木鶏郎先生が保存されてきたものを、三木鶏郎企画研究所のTさんのご尽力でCD化にこぎつけました)を収録したものの、第一作は「幻」でした。でも、この時「落語長屋」の音源を探しているときに、エノケンさんのお宅から、やはり幻だった「ラジオ落語長屋」の音源を発見し、CDに収録することができました。

ということで、今回の「喜劇映画パラダイス」で、どうしても上映して欲しいので、しつこく東宝さんにプリントの有無を聞いていただいたところ『大笑い大福帖』なる38分の作品があることが判明。それが『落語長屋は花ざかり より お笑い大福帳』だったわけです。ということで、この発見は(僕にとっては)大事件でありました。このことを、三木鶏郎企画研究所のTさんにお知らせして、今日、ご一緒に観たわけです。

で、38分の短い作品なので、併映として、斎藤寅次郎門下の曲谷守平監督の『金語楼の三等兵』(新東宝)のデジタル上映ということになったわけです。まず『金語楼の三等兵』からスタート、兵隊落語の映画化ということで、金語楼さんの自役自演で笑ったあと、そのまま35ミリの『落語長屋~』です。タイトルバックの音楽は三木鶏郎先生の「落語マンボ~チンリロリン・サンバ」のインスト版。果たしてどんな編集になったのか、興味津々でした。タイトルで「第一話 森繁久彌、笠置シヅ子・・・」「第二話 榎本健一、古川緑波・・・」と、オムニバスであることを表明しており、???となりました。手許にある台本は、落語のエピソードがちりばめてあるものの、一時間ちょっとの映画の筈です。

 で、開巻、いきなり高座の柳家金語楼師匠が登場。一席お伺い、となります。え~! 驚きました。金語楼さんは、この映画では「火事息子」の叔父さんの役の筈。「火事息子」は平田昭彦さん(短縮版には出てません)、その父は義太夫好きの古川緑波さんの筈です。でも、この映画の金語楼師匠はストーリーテラー。まずは「心眼」のエピソードが語られ、森繁久彌さんが杢市を演じています。これが結構面白い。オリジナルでは、後半に語られるエピソードですが、これが第一話。で、夢から醒めてオチがついたところで、また金語楼師匠。続いて、大工の八五郎のところに、大家さんが縁談を持ち込む「たらちね」となります。ここで、エノケンさんの八五郎と、緑波さんの宗右衛門さんが登場。「さる」大家のお嬢さん・千代女に、久慈あさみさん。これも絶妙の味で、後に『大笑い江戸っ子祭』でリフレインされる、藤間紫さんの「たらちね」よりもイイ味を出してました。

 映画はバラバラにしているのに、落語のエピソードを、きちっと落語の構成に編集しているので、落語ドラマとして楽しめる。超絶編集に驚きました。しかも、エノケンさんがお嫁さんを貰えるというので大喜びして、1人で歌う「チンチロリンサンバ」は絶品でした。

 エノケンソングとしても、トリローチューンとしても定番の「チンチロリンサンバ」は、レコードでは宮城まり子さん、『夏祭り落語長屋』では楠トシエさんと歌うデュエットソングですが、チョンガーのエノケンさんが1人でお嫁さんを想像しての「ちんちろりんのぼーりぼり」は、最高です。至芸です。大興奮です(笑)

  というわけで、本来ならば「寝床」「花色木綿」「厩火事」「たらちね」「心眼」「にらみ返し」などのネタを随所に織込んだ、映画による落語世界の再現の筈ですが、短縮版では「心眼」と「たらちね」に絞った編集で、違和感なし。でした。最後の「火事」は「火事息子」のオチへの伏線であるのですが、江戸っ子の火事好きとして処理されているのも気になりません(僕は・笑)。

もはや観ることができない、とあきらめていた映画に会えるよろこびに、帰路のビールも美味!でした。「こたえられねーね」


エノケン MEETS トリロー
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2003-09-18
榎本健一

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