「オトナの歌謡曲」第二十三回 上を向いて歩こう

「上を向いて歩こう」
作詞 永六輔 作曲 中村八大
歌 坂本九(1961年10月15日東芝音楽工業)



http://j-lyric.net/artist/a000c56/l007472.html

この曲は、昭和36(1961)年、NHKのヴァラエティ「夢であいましょう」の10月と11月の”今月の歌”として、坂本九さんが歌いました。作詞は永六輔さん、作曲は中村八大さん。後年、六・八・九トリオと呼ばれる、この三人が放った「上を向いて歩こう」ですが、発売間もなくの昭和36年11月から翌昭和37年1月まで、ミュージックライフ誌の国内盤ランキングで、三ヶ月連続一位を独走したのです。

もちろん、映画界はこのヒットを見逃すはずもなく、日活では、舛田利雄監督、山田信夫脚本による『上を向いて歩こう』が映画化されます。主演は浜田光夫さんと、坂本九さん、そして吉永小百合さん、高橋英樹さん。築地市場で働く、少年院出身の若者たちの喜怒哀楽を、舛田利雄監督らしい豪腕で描いた佳作です(でも、なぜか未DVD化です)。

そして、この「上を向いて歩こう」は世界における日本のイメージを一新しました。まずヨーロッパ、フランス、イギリス、ベルギーなどでリリースされて、遥かなる極東の国、ニッポンへのエキゾチシズムを感じさせたこともあり、大ヒット。特にイギリスでは、ディキシーランドジャズのトランぺッター、ケニー・ポールとそのバンドがインストゥルメンタル曲「SUKIYAKI」としてリリースします。では、なぜ、イギリスで「上を向いて歩こう」が「SUKIYAKI」となったのでしょうか?

ケニー・ポールさんのレコード会社、パイ・レコードの社長が日本でこの曲のレコードを手に入れ、帰国後、ニッポンで食べた「すき焼き」のイメージが強烈だったために、ニッポン=SUKIYAKI、ということで付けられたとか。で、このタイトルは、パイ・レコードの社長が、歌手のペトラ・クラークさん(後年、映画『フィニアンの虹』でフレッド・アステアさんの娘を演じた方)と会食をしているときに、アーヴィング・バーリンさんの「SAYONARA」のような語感がイイとのアドヴァイスがあって、決定したという伝説があります。

さて、そのケニー・ポールさんとそのバンドのレコードが、アメリカでヒットした、というわけではなく、実は、ワシントン州のDJのリッチ・オズボーンさんという方が坂本九さんの「上を向いて歩こう」のレコードをリスナーから入手、番組でかけたのがきっかけ、というこれまた伝説があります。このリスナーの高校生の、日本のペンパルから贈られたレコードだったというから、日本でのヒット、イギリスのインストヒット「SUKIYAKI」と融合してのこと、だったわけです。で、このラジオでは、当然のことながら「SUKIYAKI」と紹介され、全米でのヒットに繋がるわけです。

アメリカでのリリースは、フランク・シナトラさん、ナット・キング・コールさんでも知られるキャピトル・レコードから、でした。タイトルはなんと「SUKIYAKA」(すぐに訂正されますけど)。いい加減ですね(笑)ところが、1963年にリリースされるや、ビルボード誌で3週連続一位、そしてキャッシュボックス誌でも、4週連続一位を記録します。日本語の歌が、全米チャート一位、というのは、今考えても凄いことだと思います。

この曲のヒットは、戦後の日本でも事件だったと思います。敗戦国ニッポンから、世界に認められるニッポンへ。昭和30年代の高度成長の象徴でもありました。それまで、日本製品は”Made in Ocuppied Japan”として、輸出されていました。欧米に輸出された日本製の玩具に刻印されていた”Made in Ocuppied Japan”は、占領下の日本製という意味でもありました。戦後16年、坂本九さんが歌った「上を向いて歩こう」は、まぎれもなくMade in Japanの旗手となったのです。

この「SUKIYAKI」ブームの後、欧米の映画に、日本人が数多く出演することになります。『007は二度死ぬ』の浜美枝さんはキッシー鈴木、若林映子さんはアキという役名でしたが、これもSUKI-YAKIのアナグラムととれます。余談ですが、この二人が出演した東宝映画『国際秘密警察鍵の鍵』(65年)を、アメリカで再編集したウディ・アレンさんの『What's Up, Tiger Lily?』(66年)なる映画では、若林さんがSuki Yaki、浜さんがTeri Yakiという役名でした(笑)

さて、この「SUKIYAKI」ブームのなか、坂本九さんは渡米して、テレビ「スティーブ・アレン・ショウ」に出演します。『ベニイ・グッドマン物語』でタイトル・ロールを演じたスティーブ・アレンさんがホストの人気番組です。



さまざまな方がこの「SUKIYAKI」をカヴァーしています。クレイド・ビーヴァーズ、ボブ・ディランさんはじめ、テイスト・オブ・ハニー、4PM、ベトナム系のTrish Thuy Trangさんなどなど、キッスがライブで演奏したこともあります。 最近では、携帯のキャラクターのデコレ村オールスターズのカヴァーがありました。

これはブルー・ダイアモンズのドイツ語版です。



こちらは、香港を中心に活躍していたThe Fabulous Echoesによる日本語版です。彼らは、この曲でアメリカ進出を果たしたのですが、 HONGKONGもTOKYOもまだ、同じ極東だった時代なので、オリジナルのように受けていたみたいです(笑)



ザ・ベンチャーズも、もちろんレパートリーにしていました。



そして、我らが美空ひばりさんの堂々たる「上を向いて歩こう」です。



これもまた「スタンダードナンバー~オトナの歌謡曲~」で歌われる予定です。 ともあれ、この「上を向いて歩こう」は、本当のスタンダードナンバーとなり、世界中で愛され続けています。この歌が誕生して、間もなく50年となります。これから、この曲から始まるニッポンのスタンダードについて、聞いたり、考えたり、語ったりする機会が多くなると思います。

そのきっかけが、もしかしたら、11月24日のコンサート「スタンダードナンバー~オトナの歌謡曲~」になるかもしれません。

https://ticket.kyodotokyo.com/jigyo.do?jigyoBango=9Y27&unitCode=671

日本のポップスを確立した3人の作曲家、
中村八大・いずみたく・浜口庫之助の
名曲を歌い継ぐコンサート。

2009年11月24日(火)新宿文化センター大ホール
開場18:00 開演:18:30

出演:由紀さおり/遊佐未森/今野英明/バンバンバザール/土岐麻子/羊毛とおはな/中山うり/藤澤ノリマサ/中村中/阿部芙蓉美
演奏:鈴木総一朗
総合司会:柿木央久
画像

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